木質バイオマス発電で電力を自給自足するのに必要な費用
木質バイオマス発電に必要な初期費用や、電力を自給自足するのに必要な費用を紹介します。
建設費だけで最低でも10億円
5,700kWなら23億円、1,500kWなら10億円
株式会社FTカーボン「小規模木質バイオマス発電設備の採算性」に初期費用(資本費)が掲載されていました。
発電出力 | 5,700kW | 1,500kW |
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建設費 | 23億3700万円 | 9億3000万円 |
廃棄費用(20年後) | 上記の5% | 上記の5% |
合計 | 約25億円 | 約10億円 |
発電出力が5,700kWタイプの木質バイオマス発電所なら23億円、1,500kWタイプなら10億円かかります。
その他に数億円
木質バイオマス発電所以外にも、木質チップ化ができる工場が必要です。
日本経済新聞「王子系企業、青森・むつに木質チップ工場 バイオマス発電用」によれば、年間3万トンの木質チップを生産する工場を2億円かけて建設する予定です。
発電出力が5,700kWの木質バイオマス発電所なら木材が6万トン必要なので4億円、1,500kWタイプなら2万トン必要なので2億円の建設費が、木質チップを生産する工場に必要なことがわかります。
次から実際の例を紹介します。
茨城県常陸太田市は30億円
スマートジャパン「自然エネルギー:30億円かけて木質バイオマス発電、年間6万トンの未利用材を燃料に」によれば、茨城県常陸太田市は総事業費約30億円かけて発電出力5,800kWの木質バイオマス発電所を稼働予定です。
大分県日田市は21億円
農林水産省「山林未利用材を活用した木質バイオマス発電による林業振興」によれば、大分県日田市は総事業費21億円をかけて発電出力5,700万kWの間伐材専用の木質バイオマス発電所を稼働しています。
1,000世帯分の電力には661kW必要
1世帯あたりの消費電力は2009年の統計で1日あたり12.7kWhです。(1日あたり10kWhと表記している資料もあります。)
木質バイオマス発電で発電した電気を使って1,000世帯分自給自足するなら発電電力量は
発電電力量=12.7kWh/日×1,000世帯=12700kWh/日=464 万kWh/年
が必要です。また、発電出力は設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を木質バイオマスの標準である80%とすると、発電出力は
発電出力=12700kWh÷(24h×0.8)=661kW
が必要です。よって1万世帯が電力を自給自足するには、約6,600kWの発電能力があるバイオマス発電所が必要です。その建設費は最低でも30億円かかるでしょう。
次の記事で、木質バイオマス発電は何年で元が取れるのかを紹介します。