電気の自給自足生活に必要な費用

電力会社とは契約せず、太陽光で発電した電気を使って電力の自給自足生活している人たちがいます。ソーラーパネルや蓄電池など、電力自給自足生活に必要な機器や費用を紹介します。

節電するなら220万円、水道まで自給するなら500万円

電力会社とは契約せず、太陽光で発電した電気を使って電力の自給自足生活しているご家庭が、テレビで紹介されています。

佐藤夫妻:節約して220万円

佐藤夫妻の場合、ソーラーパネルと蓄電池、プロパンガス、上下水道で生活しています。下の表は佐藤夫妻と一般家庭の違いです。

佐藤夫妻と一般家庭の違い
佐藤夫妻 一般家庭
世帯人数 2人 2.62人
(2009年の統計)
消費電力
(1日あたり)
3kWh 12.7kWh
(2009年の統計)
ソーラーパネル 2kW 3kW
(設置者のみの統計)
蓄電池容量 27kW データなし
最大消費電力 1000W
(推定)
5000W
(50A契約時)

一般家庭と比べ、佐藤夫妻の場合は徹底した節電生活をしており、消費電力は1/4です。

佐藤夫妻は「電子レンジは持っていない」「エアコンの暖房機能は使わない」と言っています。番組では解説していませんが、理由は消費電力が高いためです。最大消費電力は電子レンジ(17Lタイプ)が1100W、エアコン(6畳タイプ)の暖房機能が1500Wです。

そのため、冷蔵庫・オーブントースター・洗濯機など、消費電力1000W以下の家電しか使えません。また、消費電力が高い機器を同時に利用することもできません。

気になる電力自給自足の初期費用ですが、家電Watch「藤本健のソーラーリポート」で佐藤夫妻が詳しく紹介していました。

下の表に詳細を書きましたが、電力自給自足の初期費用は220万円です。この費用220万円に加えて、フォークリフトのバッテリーのメンテナンスに精製水や薬剤の費用が定期的に必要です。

電力自給自足装置の費用の詳細1
機器 説明 価格
フォークリフトの中古バッテリー 計27kWh
知り合いから買ったもの
550,000円
パナソニック製のソーラーパネル 計1.92kW 440,000円
充放電コントローラー ソーラーパネルで発電した電力を効率的に充電する装置 125,000円
インバーター バッテリーの直流出力を交流電力に変換する装置 195,000円
その他 バッテリーモニターやAC積算モニター、接続コード一式、工事費用など 890,000円
合計 220万円

秋田氏:電気と水を自給して500万円

秋田憲司氏の場合も同様に、ソーラーパネルと蓄電池による独立型太陽光発電です。下の表は秋田憲司氏と一般家庭の違いです

秋田氏の家庭と一般家庭の違い
秋田氏の家庭 一般家庭
世帯人数 不明 2.62人
(2009年の統計)
消費電力
(1日あたり)
20kWh 12.7kWh
(2009年の統計)
ソーラーパネル 10kW 3kW
(設置者のみの統計)
蓄電池容量 70kW データなし
最大消費電力 3000W
(推定)
5000W
(50A契約時)

一般家庭と比べ、秋田氏の場合は電気を存分に使った生活をしており、消費電力は約2倍です。

気になる電力自給自足の初期費用ですが、詳しい資料は見つかりませんでした。動画の情報をもとにすると、下の表のようになります。

電力自給自足装置の費用の詳細2
機器 説明 価格
蓄電池 計70kWh 不明
ソーラーパネル 計10kW 170万円
充放電コントローラー ソーラーパネルで発電した電力を効率的に充電する装置 不明
インバーター バッテリーの直流出力を交流電力に変換する装置 不明
その他 バッテリーモニターやAC積算モニター、接続コード一式、工事費用など 不明
上水道整備 地下に穴をほって汲み上げる方式 不明
合計 500万円

元は取れない

電気の自給自足生活で気になるのは「元が取れるのか」です。

220万円かけた佐藤夫妻を取材したリポーターは「ペイするのに(単純計算で)100年」と述べ、500万円をかけた秋田氏にいたっては「基本的に全自給というのはそもそもコスト的に合わない」と断言しています。つまり、太陽光と蓄電池による電気の自給自足では、元は取れません。

そもそも、それぞれの機器の耐用年数が短く、大手メーカーの独立型ソーラーパネルが10年、鉛蓄電池は2~3年で性能が大きく下がります。

本来なら10年程度で元が取れないといけないのですが、実際には元がとれる前に機器が故障または寿命を迎えます。

実は電気のムダ使いになっている

発電量や蓄電量が足りなければ停電し、反対に発電量や蓄電量が多すぎると、せっかく貯めた電気を捨てることになります。よって、電力会社と契約せず電気を100パーセント自給すると、電気のムダ使いが起こります。

一方、佐藤夫妻のように「原子力発電がイヤ」、秋田氏のように「災害対策用」としてなら目的に合っていると思います。その他、「水力・火力発電がイヤ」、「電力会社の経営方針が気に入らない」という考えの人は電気の自給自足生活が向いているでしょう。

電力会社の電気と併用し、半自給する方が環境に良い

佐藤夫妻や秋田氏のように電気を100パーセント自家発電するのではなく、電力会社の電気と併用し、自給率50パーセントを目指すと、電気を捨てることはありません。

自給率50パーセントを目指し、独立型太陽光発電に50パーセントの投資をします。そして、もうあと50パーセントを省エネ家電や太陽熱温水器など、エネルギーを効率良く使う製品に投資した方が、環境・家計・経済に良い効果をもたらします。

よって、「原子力・火力・水力発電が絶対イヤ!」「電力会社の経営が大嫌い!」といった考えを持っていないのであれば、電気の全自給より半自給をオススメします。